たかのぶろぐ

独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である。

草稿.63


テレパシーなどあるはずがない僕と君も 大きな力を信じる気持ちが全てで それぞれがそれぞれをくだらねえと思いながら 寂しさや虚しさや怒りをどこかにやるため身を寄せ合う

何かが終わった香りがした 果実が腐ったような 新しい家のような 身体に通った血が全て抜かれたみたいに そこから見た景色は嘘ぽかった 目先の未来を嬉しく思ったり 昔の酷い記憶を美しいと感じたり そんな風に僕たちは穏やかに騙されながら 課題をひとつふたつとこなして行くのさ 名前を呼び合うだけで擦り減らす儚い関係を含み笑顔で手放す頃にはきっとみんな狂ってるから 寂しい時は何か話してよ 今は何も見えないけど 僕は知らない君を愛せる気がするよ もう過きた話だから君には話せないぜ 僕が知らない顔を見せたって他人のように怖からないで 楽しいいことは明日話そうよ それで幸せになれるから 僕は知らない君を愛せる気がするよ

生まれた場所も愛した人の顔も忘れてしまいそうなんだよ いまここに花を咲かせることが この世界で一番素適なことだよって あの子ささやきが僕の耳元で機械のように繰り返す

もう会えないんだね お目にかかれないんだね 時間の檻の中で燃える君の延びてくる手をキャッチできるのは永遠にただ1人だけなんだから 目を逸らさないでよ驚かないでよ なかったことになんてしないでよね どこか知らない国で偶然出会えたならその時は熱いキスをしよう

そのドアは閉じこもるためじゃなくて 誰かを引き込むためにあるのさ もしも誰かを愛してみたいと思ったら そのドアに素敵な言葉を書こう

踵を返したのは僕の方で それっきりかどうかなんてわからないが 今ここで会ったことは神様の手違い 必然なんか求めないぜ 長生きする予定とか僕にはないから元気なうちに話したいね また会いましょうね 必ず会いましょうね 募る話だってあるでしょう 大きな波も起えたでしょう 今年の雪はどのくらい積もるのかな 西へ東へ影は伸び離れていく

 

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